ブレストに異を唱える一説
去年だかクーリエジャポンで、ブレストは古いといった記事があった。私はそれは一理あると思いながら読んだ。ブレインストーミングは、何か新しい発想をする上で、色々な意見を出し合って、閃きを促す効果的な方法だと思う。しかし大抵発言力の強い人の意見を優先したり、コンセプトやブランドからそれたアイディアで溢れ変える。
ここがブレストを活かしきれるかどうかのポイントで、一貫性のない企画は、誰の心にも刺さらなくなる。つまり企画倒れで、それに着手し、開発を進めれば進めるほど赤字になっていく。
このため、一貫したコンセプトを貫くため、1人で熟考したり、他の意見を聞きながら、1人でその善し悪しを決断した方が、結果的に良質なアイディアが生まれると言う考えが「ブレストに異を唱える」の1つの側面となる。
もともと人は、さまざまな情報を知らず知らずの内に獲得している。さまざまな考え方を取得して、それを個々で千差万別している。それがいち個人の考えとして披露されているわけだ。つまり個でも、ある程度のブレストは開始されている。
となると、ブレストは何の為に行っているか。それは考える機会でしかない。普段から探して考えている人にとっては不要な場所となる。
この理屈自体は、人から聞いて得たり、自分から導きだすので、こういったものは普段のコミュニケーションから獲得することとなる。これをブレストとは言わない。
もしそれでも、ブレストを行って良質なアイディアを獲得したいのであれば、以下を気をつけた方がいいだろう。
- 当人のそのアイディアについて、顧客だったら確実に利用する発言かどうか。
- 思いつきで喋った事は、それを明確に共有する。
- そのアイディアが、マーケットを安易に想像でき、できればそれが共感できる。
- 基本的に意見は、勝手に空想した人物の需要を語らない。証言を基に需要を立証する。
- 取りまとめる人間は、ブレスト後から成功に導く手だてを理解している。(ブレストは一面でしかない)
自由な発想の場所ではあるが、自由な発言は自由な発言だったこと、実際に立証できる需要を語る場合は、その旨を理解できる発言であること。これらを分けなければ、企画はぶれて誰の心にも刺さらないものになってしまう。
そして、企画戦略は常に流動的にマーケットの意見を取り入れながら変化することを念頭に入れて着手すること。
結局大事なのは、需要を明確に導きだす事で、それが想像さえできなければ、そのブレストは完敗となる。そのときは、素直に諦めてメンバーチェンジをしよう。結局アイディアをカタチにできる人間は、一部の固定の人間のみのケースが高く、その人が参加しているかいないかの方が重要となる。
「ブレストに異を唱える」のもう1つの側面として、みんなで意見を出し合うより、その特定の能力者を見つけ出して、その人とコミュニケーションを取る方が身があるからだ。
アイディアの絞り出しに困ったときは、そういった能力者を沢山の人との出会いの中から見つけ出すのも一考だ。